補助金というと「準備が大変そう」「資料集めなどが面倒」といったイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、今回は比較的申請が簡単で活用の幅も広い小規模事業者持続化補助金について解説をします。
ホームページの作成や広告費、新商品の開発など様々な用途に活用できる補助金なので、ぜひビジネスの成長に活用してください。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金とは一定の条件を満たしている小規模事業者と特定非営利活動法人を対象に、地域の商工会議所の協力を受けながら経営計画を作成し、その計画に沿って実施する売上向上のための販路開拓や業務効率化を図るためのツールの購入費が一部補助される制度です。
小規模事業者持続化補助金に様々な申請枠がありますが今回は「一般型」について解説を行います。
小規模事業者とは?
補助金の対象となる「一定の条件を満たしている小規模事業者と特定非営利活動法人」とは下記の条件を満たしている事業者を指します。
小規模事業者の定義について
小規模事業者は下記の通りに定められています。
■商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)…常時使用する従業員の数5人以下
■サービス業のうち宿泊業・娯楽業…常時使用する従業員の数20人以下
■製造業・その他…常時使用する従業員の数20人以下
従業員数の条件はあくまでも常時使用する従業員の数になるので、下記のような従業員は含まれません。
- 会社役員(従業員との兼務役員の場合は「常時使用する従業員」に含まれます)
- 個人事業主本人、同居の親族従業員
- 育児休業、介護休業などで申請時点で休職中の社員
- パートタイム労働者
※パートタイム労働者については正社員同様にフルタイムで勤務している、雇用期間や雇用形態などによって「常時使用する従業員」に含まれる場合があります。
判断が難しい場合は公募要項を再度ご確認いただくか商工会議所・補助金事務局にご相談ください。
職種分類について
職種の分類や定義は以下のように定められています。
■商業・サービス業
- 他者から仕入れた商品を販売する(=他者が生産したモノに付加価値をつけることなく、そのまま販売する)事業
- 在庫性・代替性のない価値(=個人の技能をその場で提供する等の流通性がない価値)を提供する事業
※自身で生産、捕獲・採取した農水産物を販売するのは「商業・サービス業」ではなく「製造業その他」に分類
例)飲食業、介護業、小売業
■サービス業のうち宿泊業・娯楽業
- 宿泊を提供する事業(また、その場所で飲食・催事等のサービスを併せて提供する事業も含む)
- 映画、演劇その他の興行および娯楽を提供する事業、ならびにこれに附帯するサービスを提供する事業
例)ホテル、映画館
■製造業
- 自者で流通性のあるモノ(ソフトウェアのような無形の商品や無形の価値を含む)を生産する事業
- 他者が生産したモノに加工を施すなどして、更なる価値を付与する事業(在庫性のある商品を製造する事業)
例)ソフトウェアの製造販売、食料品の加工
■その他
・「商業・サービス業」、「宿泊業・娯楽業」、「製造業」の定義に当てはめることが難しい事業(建設業、運送業等)や、区分が異なる複数の事業を営んでいるなど判断が難しい事業
※判断が難しい場合は公募要項を再度ご確認いただくか商工会議所・補助金事務局にご相談ください。
補助金の対象外となるケース
下記の内容に該当する場合は補助金の対象外となりますのでご注意ください。
- 医師、歯科医師、助産師
- 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
- 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
- 一般社団法人、公益社団法人
- 一般財団法人、公益財団法人
- 医療法人
- 宗教法人
- 学校法人
- 農事組合法人
- 社会福祉法人
- 申請時点で開業していない創業予定者(例えば、既に税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
- 任意団体
特に開業前の場合は申請ができないという点については、お問い合わせをよく頂くのでご注意ください。
補助金の支給額と対象経費について
小規模事業者持続化補助金の補助金額は最大で費用の2/3もしくは50万円となっています。
補助金は販路開拓や業務効率化への取り組みに活用できます。以下は活用事例です。
- 販売促進のためにチラシを作成してポスティングする。
- ネット販売システム、ホームページを制作する。
- 店舗の改装
- 長時間労働改善のために専門家にコンサルタントを依頼する
補助対象経費の条件
補助対象経費として認められる項目・条件は下記の通りです。
【補助対象経費】
- 機械装置等費
- 広報費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 専門家謝金
- 専門家旅費
- 設備処分費(補助対象経費総額の1/2が上限)
- 委託費
- 外注費
【補助対象の条件】
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
上記の条件をすべて満たすものが補助対象経費として認められます。
申請の方法と申請フロー
補助金を実際に申請する場合の方法と申請の流れについて解説します。
【申請の流れ】
- 経営計画書・補助事業計画の作成
- 事業支援計画書などの作成・交付依頼
- 補助金事務局に申請書類一式を提出
- 審査、採択・不採択の通知
- 採択の場合は交付決定後、経営計画に基づいた取り組みの実施
- 期限までに実績報告の提出
- 実績報告の内容に問題がなければ、補助金を請求・受領
1. 経営計画書・補助事業計画の作成
小規模事業者持続化補助金の公募要項ページからフォーマットをダウンロードし、経営計画・補助事業計画の作成を行います。
商工会議所の指導や助言を受けることもできるので、作成が進まない場合は相談も可能です。
2. 事業支援計画書などの作成・交付依頼
地域の商工会議所に事業支援計画書などの作成を依頼します。
申請には必ず商工会議所から事業支援計画書などの作成・交付を受ける必要があります。申請者が急いで書類を準備しても事業支援計画書の作成・交付が間に合わなければ、申請を進めることはできませんので、締切期日までに余裕を持って、早めの依頼が必要です。
3.補助金事務局に申請書類一式を提出
作成した申請書類一式を補助金事務局に提出します。期日までの提出が必要になりますので、必ず公募要項ページで申請期限を確認するようにしてください。
4.審査、採択・不採択の通知
申請書類一式をもとに補助金事務局で審査が実施されます。採択時点で補助金が支払われるわけではありませんのでご注意ください。
5.採択の場合は交付決定後、経営計画に基づいた取り組みの実施
交付が決定したら作成した経営計画に基づいて販路開拓や業務効率化の取り組みを実施します。実際の取り組みについても商工会議所の指導や助言を受けることができます。
取り組みに伴う備品の購入や発注は必ず交付決定後に実施してください。(交付決定前に発生した費用については補助金の対象外となります。)
6.期限までに実績報告の提出
定められた期限までに取り組みの実績について報告を行います。
7.実績報告の内容に問題がなければ、補助金を請求・受領
報告内容に問題がなければ補助金の受領に進むことができます。
前述の通り小規模事業者持続化補助金は精算払い(後払い)になる点は注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?小規模事業者持続化補助金は様々な用途に活用することができるため皆様の会社経営に活用いただける点も多いのではないかと思います。
この記事を通して小規模事業者持続化補助金の申請や利用が少しでも身近に感じていただけましたら幸いです。
過去不採択となってしまった事業者の方でも、再申請することも可能ですのでぜひ挑戦されてみてください。
天神経営では専任のスタッフによる補助金の申請から活用まで支援を行っております。
補助金の活用、経営支援、経営相談をご検討の企業様はお気軽にお問い合わせください。
参考
小規模事業者持続化補助金R3ホームページ:(https://r3.jizokukahojokin.info/)
小規模事業者持続化補助金公募要項:(https://r1.jizokukahojokin.info/index.php/sinsei/)