フリーランスとして仕事をする上で、開業する際に「個人事業主」と「法人」のどちらにするかを悩む方は多いかと思います。また次第に事業が拡大するうちに、「個人事業」から「法人化」するべきかどうかを考える方も多いかと思います。
ここでは、個人事業主と法人の具体的な違いについて解説していきます。
個人事業主と法人の違い
個人事業主と法人を分けるのは「登記をしているか、していないか」だけです。一般的には、個人事業主は小規模であり、法人は大規模であるというイメージだと思います。
しかし、売上や従業員数、オフィスの大きさなどは一切ありません。大きなオフィスがあっても登記をしていなければ、個人事業主になります。
※登記とは、行政における仕組みの一つで、個人や法人が持つ財産(不動産、物権、債権など)上の権利や義務を広く公に示すため、公開された帳簿(登記簿)に記載することを指します。登記が作られるとその法人の経営者や従業員でなくても、誰でも見られるように公開されます。
個人事業主と法人の違い~手続き編~
個人事業主の開業届の手続きは、「書類に必要事項を記載して税務署に提出する」だけですが、法人の場合は、形態(種類)によって手続き方法や、申請から登記完了までにかかる期間も、数週間から数ヵ月とさまざまです。設立後も、納税額を決める所得の課税範囲や、国・自治体から受けられる助成なども法人の種類によって異なるため、事業内容に合わせて適切に選ぶ必要があります。
登記が完了したら、各種行政などへの下記手続きがあります。
税務署:法人設立届(法人設立後2ヵ月以内)・青色申告の承認申請書(法人設立後3ヵ月経過、あるいは最初の事業年度終了日のいずれか早い方の前日)・給与支払い事務所等の開設届出書(給与支払い開始の1ヵ月以内)・源泉所得税の「納期の特例の承認」に関する申請書(特例を受ける月の前月末)
自治体:法人設立届書(自治体によって届け先、期限が異なります)
年金事務所:(社員がいる場合は加入義務/設立後5日以内)・健康保険・厚生年金保険 新規適用届
労働関係:(雇用者がいる場合/雇用後10日以内)・労働基準監督署・公共職業安定所
個人事業主と法人の違い~税金編~
決算によって算出される一年間の所得と納税額と、それらを左右する「経費」がありますが、法人になると、個人事業主よりも経費にできる項目がグッと増えます。
個人事業主の経費項目はそのまま法人にもあてはめることができますが、さらに経営者本人、家族従業員への給料や、生命保険料、住宅賃料(社宅など)、出張費や休日出勤の日当なども経費として計上できます。そのため、個人事業主よりも法人の方が経費計上による節税には有利だと考えられます。
個人事業主と法人の違い~社会的信用編~
個人事業主でも、開業届を出しているか、いないかでは大きな違いがあります。
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開業届は出さなきゃだめ?出さないとどうなる?開業届を提出するメリットのご紹介 – 天神経営コラム (tenjinkeiei.co.jp)
一時的な事業でも個人事業主は務まりますが、開業届を出して青色申告をするとなると、確定申告のための複式簿記の知識や税金などの経理的な知識が必要です。
これが法人になると、設立と登記のハードルはさらに高く複雑です。しかし、法人化のメリットは、事業規模(所得)が大きくないと得られないため、法人には個人事業主よりも事業の安定性が必要になり、法人を維持できていれば社会的信用はさらに得られるようになります。
金融機関からの融資が受けやすくなったり、法人でないと取引ができない企業とも取引が可能になるため、事業の選択肢が増えると考えてよいでしょう。
個人事業主のメリット・デメリット
メリット:開業手続きが簡単。初期費用がかからず、すぐに事業を開始できる。一定の所得までは、個人事業主の方が税額が低いなど。
デメリット:社会的信頼度は法人に比べると低い。経費にできる範囲が狭い。儲けが増えるほど、所得税の税率が上がるなど。
法人のメリット・デメリット
メリット:社会的信頼度が高い。経費にできる範囲が広く柔軟。一定の所得を超えたら、所得税よりも節税になる点など
デメリット:事業開始までの手続きが多く、費用もかかる。赤字でも税金の支払いがある。経理・人事管理が煩雑など
まとめ
いかがでしたか。個人事業主、法人とそれぞれメリット、デメリットはありますが、利益の見込みが低い場合には、事務や費用負担が少ない個人事業主からスタートして、利益が出るようになってからタイミングを見計らって法人化を目指すのもいいかもしれません。
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