開業届とは、国(税務署)に対して「どこの住所で、このような個人事業を開業した」ということを届け出るための書類で、確定申告をするために必要となるものとなります。事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが推奨されていますが、提出しないことによる罰則はありません。
「罰則がないならわざわざ提出しなくてもいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、開業届を提出することによるメリットも多く存在していますので、ご紹介していきます。
開業届を出さなくても罰則はない
個人で事業を開始したら開業届を出す義務がありますが、もし開業届を出さないまま事業を行っていても罰則はありませんし、税務署に出すように言われることも通常はありません。開業届を出さずに事業を行っている人もいらっしゃると思います。
ただし、罰則がないからと言って、開業届を出さなくてよいというわけではないことは理解しておきましょう。開業届の提出は、任意ではなく、義務的なものです。
また、提出期限一ヶ月を過ぎたからと言ってなにか言われることもありませんので、今からでも開業届を提出することが可能です。
開業届を出す目的とは
開業届を出さなくても罰則はなく、税務署から出すように言われることもないのなら、一体何のために開業届を出すのでしょうか。それは、開業届を出していないと、青色申告ができなかったり、屋号での銀行口座を開設できなかったりと、不便なことがあるからです。そういった開業届を出さないと困るケースがあるため、多くの人は開業届を提出しています。
開業届を出していないとどんなときに困る?
青色申告ができない
青色申告とは、事業を行う人が税務署の定める方法で正しく記帳を行えば、さまざまな税務上のメリットを受けることができる制度です。青色申告の大きなメリットは、青色申告特別控除です。要件を満たしていれば、最大で65万円を所得から控除でき、その分税金が安くなります。また、青色申告では赤字を最長3年間繰越でき、黒字になった年の税金を安くすることもできます。
青色申告をするには、事前に税務署に申請して承認を受けなければなりません。青色申告承認申請をするには、開業届を提出していることが前提になりますので、開業届を出していない場合には、青色申告承認申請書を受け付けてもらえません。
屋号での口座開設ができない
個人事業主が銀行で事業用の口座を開設した際、口座名義は個人名になります。ただし、銀行によっては、個人名に屋号を付け加えた口座を開設できますが、銀行から開業届の控えを求められることが多く、開業届を出していないと屋号での口座開設は難しいことが多いです。
事業資金の融資が受けられない
個人事業主が金融機関などから事業資金の融資を受けようとしても、その事業を行っていることの証明がないとして融資を受けられない場合が多くあります。
補助金・助成金の申請ができない
事業を開始するときには、補助金や助成金をもらって資金調達できることがあります。開業時に補助金や助成金の申請をする場合、開業届が必要になるケースが多くなっています。開業届を出さなければ、補助金・助成金等の申請もできません。
開業届を出すことで生じるデメリットについて
記帳の義務が発生
開業届を出して個人事業主となったなら、日々の取引を帳簿に記載しておき、なおかつ帳簿を保存しておかなければなりません。白色申告の個人事業主であっても、記帳や帳簿の保存義務はあります。記帳の手間が発生することは、デメリットとも言えるかもしれません。
タイミングによっては失業保険が受けられなくなるかもしれない点
退職した会社で雇用保険に加入していた場合、失業すると一定期間は失業給付を受給できます。
失業給付はハローワークでの手続きで受給でき、失業期間に生活の心配なく新しい仕事を探すための費用です。失業保険を受給しようとしている場合には、受給前に開業届を提出しないようにしてください。
開業届を出さなければならない人と出さなくても大丈夫な人
フリーランスでも副業でも基本的には出さなくてはらない
開業届を出さないといけないのは、事務所や店舗を構えて自営業をしている人だけではありません。フリーランスであっても、開業届を出す必要があります。会社員が副業で事業を行う場合でも、継続して事業を行う予定なら、開業届を出さなければなりません。繰り返しになりますが、出さなくても罰則はありませんが、提出は義務付けられています。
継続した収入でなければ出さなくてもいい
収入が一時的なものの場合には、開業届を出す必要はありません。例えば、フリマアプリやネットオークションで不用品を売って収入を得たけれど、継続的に利益を得るつもりではない場合には、開業届の提出は不要です。
開業届けを出すかどうかは、反復・継続して収入を得ているかどうかが基準となります。
開業届の詳しい説明は国税庁HPから
まとめ
副業で個人事業を行う場合は、青色申告が選択でき、経費の範囲も広がるメリットがあるので、税務署に開業届を提出するようにしましょう。開業日から1か月以内の提出が必要ですので、自分の中で「この仕事(事業)をこれからも継続して行おう」と決意したタイミングでの提出をおすすめします。
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