事業再構築補助金に新設された「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは?

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは、事業再構築補助金の6枠目として新設された制度です。原油価格・物価高騰等緊急対策枠では、新型コロナの影響に加え、ウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰の影響によって、経営状況が一層厳しくなった中小企業等に対し補助金が支給されます。

目次

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で当面の需要や売り上げ回復が難しい“ポストコロナ・ウィズコロナ”時代に対応するべく中小企業の事業再構築を支援するための補助金です。

そのため、公募要項の申請対象事業者の一つに、2020年4月以降の連続する6か月のうち任意3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月以上の合計売上高と比較して、10%以上減少している必要があるという条件があります。

詳しくはこちらのコラムをご確認ください。

事業再構築補助金とは?概要や申請方法を解説 – 天神経営コラム (tenjinkeiei.co.jp)

新設された原油価格・物価高騰等緊急対策枠

補助対象要件は以下の通りです。

  1. 事業再構築要件事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること。
  2. 緊急対策要件足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の売上高(又は付加価値額)が、2019~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少していることコロナによって影響を受けていること。
  3. 認定支援機関要件事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること。
  4. 付加価値額要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)の代表事例

 資源高による影響

ウクライナ情勢の悪化で最も影響があったのは全面的な資源高です。エネルギー、原油、食糧などの資源・食糧関係の相場は大幅に増加しています。特に国内で価格上昇が続いている生鮮野菜、生鮮魚介、生鮮果物、電気、ガス、灯油を利用する事業者は対象となる見込みです。

 直接的・間接的な輸出入の影響

ロシアに対して輸出入を行っている事業者で業績に影響が出ている事業者は緊急対策枠の対象となると考えられます。

日本ではロシア産のアルミニウムや銑鉄といった金属類、魚介類、鉱物性燃料、木材などの輸入割合が高いという特徴があります。

また輸出においては自動車、自動車部品、建設用・鉱山用機械、ゴム製品が主要な品目となります。こういった商品を直接的・間接的に輸出入されている方は今回の緊急対策枠を利用できる可能性は高いと推測されます。

  海外送金や現地駐在などの諸問題による影響

ロシアに駐在員がいるケースやロシアの企業と取引しているケースの場合、ロシアへの依存しない企業体質を構築する場合においても補助対象となります。

貿易船

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の対象経費

補助対象経費となるのは、「事業再構築補助金の対象として明確に区分される品目」に限定されます。

具体例としては、・建物の建築・改修・建物の撤去・賃貸物件等の原状回復・貸し工場・貸店舗等の一時移転・設備、専用ソフトの購入やリースなどがあげられます。

 原油価格・物価高騰等緊急対策枠の補助率、上限額

従業員数によって補助金額は変動します。

従業員数5人で補助金額は100万〜1,000万円。6〜20人で補助金額は100万~2,000万円。21〜50人で補助金額は100万~3,000万円。51人以上で補助金額100万~4,000万円です。補助率は中小企業で3/4です。

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の申請時の注意点

緊急対策枠を申請する際は以下の点に注意しましょう。

■過去の公募回で採択あるいは交付決定を受けている場合、再度の申請はできない。ただし、採択された事業を辞退した場合を除く。

■別途公表の様式(足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることの宣誓書)において、具体的な影響の内容について説明する必要がある。

■通常枠等の場合、コロナ前の売上高を要件確認に用いるため、2021年以降に創業した事業者は補助対象外となるが、緊急対策枠においては、2022年と2021年の売上高を比較して緊急対策要件を満たす場合は補助対象になる可能性がある。

■内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能。ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできない。複数回にわたって、事業再構築補助金を受けることはできない。(グリーン成長枠を除く)

第7回公募からの審査項目(再構築点)の見直しについて

原油価格・物価高騰等緊急対策枠に限らず、第7回公募より審査項目(再構築点)が見直されます。見直される審査項目は以下の点です。

1.既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。

2.本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

上記二点が見直されています。

パソコンと二人

まとめ

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、社会の変化に対応するための業態転換を図る中小企業を、強力にバックアップしてくれる補助金制度です。事業再構築補助金の申請サポートはぜひ天神経営にお任せください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

天神経営バナー

目次