報連相の不足でトラブルが増えた」と感じる上司と「相談の返答がない、嫌われている…?」と不安になってしまう部下。テレワークが普及してから、こうした職場の課題が増えているようです。解決の糸口となるのが、組織形成で重要視される「心理的安全性」です。では心理的安全性とは一体何でしょうか。
心理的安全性とは
「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語です。
他者の反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことのできる環境や雰囲気のことを言います。組織・集団に属する全ての個人がリラックスした状態で活動に参加でき、自由な発言や提案をおこない、議論できる状態を「心理的安全性」と表現します。
心理的安全性が低いとどうなるのか
心理的安全性を損なう要因と特徴行動
- 無知だと思われる不安質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのかと思われないか」と不安になり、その結果、気になることがあっても質問しづらくなってしまいます。
- 無能だと思われる不安ミスや失敗した時に「仕事ができないと思われるのでは」と不安になり、自分の失敗や弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになります。
- 邪魔をしていると思われる不安自分が発言することで「話の邪魔をしていると思われないか」不安になり、提案や発言をしなくなっていきます。
- ネガティブだと思われる不安改善を提案したくても「他の人の意見を批判していると否定的に捉えられるのでは」と不安になり、現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなったりしてしまいます。
心理的安全性を高めるには
メンバー同士で価値観を共有し合う環境をつくる
価値観を共有し合うと、メンバー達はどのように行動すればいいか確信が持てるでしょう。結果、心理的安全性を高めるのに役立ちます。
相手を肯定する習慣をつける
相手を肯定する言葉を使うことも大切です。他の社員から肯定されれば自分の行動に自信が持てるでしょう。それを実践すれば、心理的安全性は高まっていきます。
オープンマインドで接する文化を大事にする
オープンマインドとは、自分の真実をさらけ出して、相手を受け入れる心を持つことです。全社員がこの気持ちを持てれば意見を交換しやすくなり、心理的安全性を高めるのに役立ちます。
心理的安全性を高めるためのポイントと注意点
社員間で比較をしない
社員間で比較すると、メンバー間で足の引っ張り合いが起こったり、多様性が大事にされなかったりする場合があります。心理的安全性の低下につながるため、比較はしないようにしましょう。社員によって強みは違います。各社員が強みを発揮できる状況にするためにも、社員同士で比べるのはあまりいいこととはいえません。
社員に対する悪口が発覚した際は速やかに解決する
悪口は様々な社員に伝わっていきます。すると、心理的安全性が脅かされてしまいます。伝染させないためにも、速やかに解決すべき事柄になります。
ちなみに、この状況を起こさないためには「ハラスメント防止」に力を入れるといいでしょう。
社員たちで助け合う環境を根付かせる
社員達で助け合う環境を根付かせるのも効果的です。社員間で信頼関係が生まれて、お互いの価値観を伝えやすい環境ができあがります。結果、心理的安全性を高めることに繋がります。
馴れ合いが起こらないようにする
馴れ合いとは、社員同士が結託して、会社のマニュアルなどを無視して、自分達にとって都合の良いように進めることです。心理的安全性が高くなって意見を言いやすい状況になると、社員間で馴れ合いが起こってしまう場合があります。馴れ合いを起こさないためには、・不正を指摘しやすい環境をつくる・責任の所在をはっきりさせることが重要です。
心理的安全性が高まることによる効果
チームメンバーにとっての効果
チームを構成するメンバーにとって、心理的安全性が高まることによるもっとも大きな効果は、コミュニケーションに関わる余計なストレスを感じることなく仕事ができることです。
チームで仕事を進める上で、メンバー間の対話は欠かせません。心理的安全性が高いチームにおいては、メンバーに話しかけるときに「いま話しかけても大丈夫かな」「こんなことを聞いてもいいのかな」といった心配をする必要がなくなります。すると、対話を通じて協力しながら業務を進めるのが日常となるため、パフォーマンスの向上につながるのです。
組織にとっての効果
メンバーの心理的安全性を高めることは、組織にとっても利点があります。メンバー間のコミュニケーションが活発で意義あるものになることで、チームの課題を早期に発見・解決できます。心理的安全性の高い組織は、解決に向けた前向きな議論が生まれやすく、自発的に発展していく特性があります。発展する組織には、やりがいや愛着を持つメンバーが増え、退職率の低下にもつながるでしょう。組織の雰囲気がポジティブだと、入社希望者が増加し、優秀な人材を確保しやすくなる好循環も生まれてきます。
エース社員が退職を申し出てきたらどうする?!退職の引き止め方と未然に防ぐ方法 – 天神経営コラム (tenjinkeiei.co.jp)
まとめ
心理的安全性を高めるためには、「自分自身が職場環境を構成する一員だ」という主体的な意識をメンバー全員に持ってもらうことが大切です。経営層や管理職ばかりが尽力するだけでは、心理的安全性の向上には繋がりません。
心理的安全性が低くなると、意見やミスしたことを言えなくなり、会社に損失を与える確率が高くなってしまう一方、心理的安全性が高い職場では社員達が意見を言いやすくなったり、仕事で成果を挙げやすくなったりします。
ストレスが少なくパフォーマンスの高いチームをつくるため、今回ご紹介したような対策を中心として、メンバーの意識改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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